篆書の書道にチャレンジ

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「篆書」(てんしょ)をご存知でしょうか?
日本のパスポートの「日本国旅券」という文字や、お札の印、ハンコによく使われている文字です。
Wikipediaによると、中国が統一されて、度量衡(長さ、重さ、質量)が統一されたり、文字が統一されたりした時に、採用された文字なのですが、国家を統一する国が変わるごとに主流の文字が変わり下火に。後漢時代の石碑に残された石碑がいずれも天や神への願文や天のお告げを示した内容であり、神に祈るための文字として認識されるようになったそう。文字の中でも歴史の長い文字だそうです。

日本のパスポート篆書で書いた「雪」

伊藤雲峰(いとう うんぽう)先生による「篆書」を書く会(書会)が大阪で開催された折に参加しました。
篆書で面白いなと思うのが、統一された文字とは言うものの、統一されきっていないのか、文字の種類がたくさんあること。先生が書いてくださったお見本の中から選んで字を書くのですが、選ぶものが違うと同じ内容を書いていても、まったく景色が変わってきます。
伊藤雲峰先生の書会では、綺麗に見える文字や線のバランスや空間のアドバイスは頂くのですが、基本的に自由に書かせて頂けます。筆の置き方はこうじゃないとダメ!とか、「とめ」「はね」「はらい」の細かい規制は無しで書きます。
この書会で、自由に大きな文字を書くということがストレス発散になることを知りました。お習字が苦手で、字を書くことにコンプレックスを感じている私にとって、楷書のように上手い下手がはっきり出ないところが嬉しかったりもします。

篆書・雪中松柏

こちらを今の漢字で書くと「雪中松柏」。私の書いた篆書なので伝わりにくいところもあるかと思いますが、先生からいただきました解説によりますと、
『雪』古代の人は、雪は、ほうきで掃き清められる雨だと考えていたのだそう。なので雪の字は、雨とほうきから成り立っています。
『中』は軍の中央に立てる旗。
『松』木に通路と場所を表す文字から、みんなが共にする広場という意味で「おおやけ(公)」。木と公で長寿、繁栄などを象徴する木「松」を意味するようになったそう。
『柏』木と「白」の字は、頭の白い骨(頭蓋骨)から来ていて、しろい・何も変わらない。木と白で葉の色が変わらない常緑樹を意味する柏になったのだそう。

篆書の文字は、字が自然に近いのです。象形文字に近いというか、景色が想像出来る文字なのです。
篆書の文字を見ると生命力というか人間のパワーを感じます。
私たちが学生時代に習ったお習字は、お見本があって、いかにその文字を見本に似せた良いバランスで書くか・・・綺麗に見える字形が決まっている感じだったのですが、篆書は人間の営みそのものを表現する文字なので、むしろ自由なのだと感じます。

以前、英会話スクールでアメリカ人の先生に、この篆書の会のお話をしたことがあるのですが、Amazing!だと。
別の日に会った時にも、「彼女は凄いcalligraphy(カリグラフィー)をして来たんだ」と、改めてお話を振ってくださっていたので、よっぽどAmazing!だったのでしょう。
篆書は、アートのセンスで書くことができるので、漢字を知らない外国人にも書きやすい、理解しやすい書道なのだと思います。そして、外国人にも象形文字の雰囲気は、伝わりやすいのかもしれません。
漢字を知る日本人にも、漢字圏ではない海外の人にも伝わる文字。そして、それなりに雰囲気のある作品になる篆書の書道。とても楽しくて面白いです。

この春、先生が出展された書作展を拝見したのですが、初めて見るお習字だらけの展示。色の無い白黒の墨文字の世界なのに、書く人によって景色がこんなに異なって見えるものなのかと驚きました。
先生の篆書作品は、私にとって心地が良くて、息がしやすい作品でした。
息が吸えるか吸えないか。景色が広いか狭いか。感覚で感じる僅かな違い。文字や空間のバランスもあるのですが、たぶん文字一つ一つが持つ絵画的な並びや、文字のパワー、浮かぶ景色によって、心地良く感じるか、息苦しいかの違いが出るのだと思います。それが、篆書の文字の持つ性質、特徴なのだろうと思います。

篆書とは、伝えるための記号としての文字ではなく、景色や情景、人の暮らしを表現する文字なのだと思います。そして、それは余所行きの華美なものではなく、自然の中に存在しているものを素直に表現する文字なのだと思います。

篆書で書いた「雨垂れ石を穿つ」
「雨垂れ石を穿つ」

 

【伊藤雲峰先生による篆書ワークショップの今後の開催予定】

篆書のワークショップ】(名古屋)
●2019年1月19日(土)
時間:<第1部>13時30分~ <第2部>16時00分~
会場:『ギャラリ想』名古屋市千種区今池南3-9-201号室(ギャラリ想 2F)
参加費:2,500円(ドリンク&お菓子付き)
定員:各回7名
予約/お問い合わせ: Tel 090-7854-6197 メール gallery.sou@gmail.com
【毎月第3土曜日に定期開催予定】

【Arco 第16回書会 篆書を楽しみながら書きましょう!】(名古屋)
2019年1月20日(日)
時間:<第1部>13時30分~15時30分 <第2部>16時~18時
会場:『Pub Arco』 名古屋市西区名駅2丁目20-30
料金:2,500円(ソフトドリンク付き)
※小学生以下のお子様もご一緒に1,000円でご参加いただけます。但し、お子様のみ参加の場合は一般料金の2,500円となります。
予約/お問い合わせ: Tel 052-784-6488(14時以降)メール homeranian@gmail.com

【亀戸書会】(東京)
2019年2月2日(土)
時間:13時30分~16時30分
会場:『亀戸文化センター』東京都江東区亀戸2-19-1
料金:2,500円(ソフトドリンク付き)
※終了後、懇親会あり。
予約/お問い合わせ: homeranian@gmail.com

【大阪書会】(大阪)
2019年1月27日(日)第一部 14時~16時/第二部 16時10分~18時10分(各回とも定員8名)
参加費:2,000円
会場:『KSPコリア学院』大阪市東成区東小橋3丁目1-15 NKBビル3F
お申込み:
(1)facebookでのお申込み(推奨)…ご参加いただく方のお名前、携帯電話番号、どちらの回に参加予定か、を、フェイスブック内Ksp理数学院/Kspコリア学院ページのメッセージからお送りください。
(2)お電話でのお申込み…06-4981-5292にてお名前、携帯電話番号、どちらの回に参加予定か、をお知らせください。留守番電話の場合は録音を残しておいてください。
(3)FAXでのお申込み…06-4981-5292にお名前、携帯電話番号、どちらの回に参加予定か、を書いたFAXをお送りください。
(4)メールでのお申込み… emin@ksproj.com あてにお名前、携帯電話番号、どちらの回に参加予定か、をお送りください。

【伊藤雲峰先生による「篆書」ワークショップ】(名古屋)
2019年2月9日(土)
時間:<第1部>13時00分~14時30分 <第2部>16時00分~17時30分
会場:『MuGicafe』三重県桑名市京町42番地
参加費:大人2,500円・子供1,000円<小学生以下>(ドリンク付き)
詳細:https://www.facebook.com/events/1861978297212190/