アンナ・カレーニナ

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シアタードラマシティーへ行ってきました。この作品、あまり良い噂を聞かなかったというか・・・事前にレポ読んだりあらすじ読んだりするのは嫌いなので、ほとんど目に触れないようにしているのですが、そんな状態で目に入った噂。「井上さんの衣装が良かった」←誉めるところはそれだけなのだろうか?「アンナとキティのデュエットは残念でした」←残念って何?「歌えない方もいらっしゃって」←ミュージカルだよね・・・。

さて、確かに井上芳雄さんの衣装は本当に素敵でした。白い軍服や黒燕尾・・・白シャツ姿までスッキリ爽やか本当に綺麗でした。元から足が長い上に、サイドにラインが入っているから益々長く見える。椅子に座ったときの足の余り具合が本当に素敵でした。でも、確かに歌に関してはあまり大ナンバーが無いというか、もちろん歌っているのですけれど、グワーッと「歌ってます!」っていう曲が無かったので、意外に歌の印象が弱い気はしました。ただ井上さんの声に合ってる綺麗な曲が多くて心地よい歌が聴けました。アンナとキティのデュエットは・・・それほど残念にも思わなかったです。二人がパワー全開でぶつかり合うようなデュエットだったら、確かにキツイかもしれないけれど、アンナはそのシーンではもう弱ってましたから(^^ゞ歌えない方もいらっしゃって・・・まあ、こんなもんでしょ。一路さん&井上さんの歌はミュージカル界でも最上クラス。それを平均に持ってきたら何も観れません。

今回の大収穫は葛山信吾さん。お昼のドラマ「真珠夫人」で”たわしコロッケ”を食べさせられそうになっていた方で、実は「歌えるのぉ~」と、今回私が一番危険だなぁ~と思っていた人だったのですが、なかなか甘い良い声で上手かったのですよ。もうちょっと高音がグワッと出るように鍛えたら、かなりのものですよ。ビジュアル最高だし、こりゃちょっと今後に期待です。今思うに、歌い終わった時に贈る拍手・・・この方の「I SHALL WORK」に私最大の拍手を贈りました。素晴らしい!!

残念だと言われていたキティ。新谷真弓さん。う~ん・・・面白いし、チャーミングだし・・・キャラとしては結構好きでした。ただ声がアニメ声。キャラ作っているのかもしれないのですが、入れ歯を入れ忘れたような話し方がちょっと気になりました。歌は・・・まぁ、上手くは無いです。裏声と地声の入れ替わりが下手。そこらへんを鍛えていただけたらなぁ~。葛山さん演じるレイヴィンとのデュエット「WOULD YOU?」で二人揃って音が彷徨い崩れていく様は本当に見事でした。おお・・・ああいうことになるのかぁ~と変な感心。そして、キティとスティーバ(小市慢太郎さん)が出てくると、なんだか新感線チックだなぁ~なんて思っていたら、お二人は「阿修羅城の瞳」にご出演でした。作品の中でレイヴィンの悩み無い軽いキャラがかなり救いでした。

カレーニンの山路和弘さん。この人は本当にロマンスグレー。なんて素敵なんだろう・・・。ちょっと不器用そうなところがまた素敵。DIVAの鈴木綜馬さんのカレーニンも素敵でしたが、山路さんもキャラピッタリでした。

セットもなかなか凝ってましたよ。階段と踊り場みたいなセットが盆でグルッと廻るのですが、カレーニン宅だったり、パーティー会場だったり、汽車の中だったり・・・。ちゃんとそう見えるのが本当に不思議。雪のシーンも本当に綺麗でした。すべてのシーンが絵になる舞台でした。楽曲は聴いているとミュージカル「グランドホテル」を思い出しました。ロシアをイメージしたらああいう雰囲気になるのかな?綺麗で豪華な曲が多く、DIVAのダイジェストで聴いていた曲がやっと一つのストーリーとして完成しました。

さて、このストーリー。私にはアンナの生き方は理解できませんでした。アンナはヴロンスキーの猛烈アタックとカレーニンの世間体や道徳感を第一に考えちゃうようなとことに耐えられずヴロンスキーと駆け落ち。ヴロンスキーとの間に生まれた娘にはセリョージャへの罪の意識もあり、素直に愛せないようで・・・結局心はセリョージャの元へ。ヴロンスキーの愛が足らなかったのか?とも思ったけれど、カレーニンから別れたらセリョージャの親権は渡さないって言われているから、アンナはなかなか離婚せず、ヴロンスキーとの間に生まれた子供も戸籍上はカレーニンとの間の子となっており・・・今後息子が生まれても財産も残せないと嘆くヴロンスキー。そうなったら心が離れてしまうこともあるだろうなぁ~。若さゆえヴロンスキーの包容力が今一歩足りなかったのかもしれないけれど、これ以上どないせいっちゅうねん!っていう感じでもあり。カレーニンが悪い人だったのか?いやいや、これが意外に不器用なだけで良い人なんですよね。アンナは自分を引き止めるためにセリョージャを渡してもらえないのだと思っているのですが、それだけでないような気もするなぁ~。カレーニンはカレーニンなりにセリョージャを愛していたのではないでしょうか?結局アンナの死後、娘も引きとったようですし。カレーニンがもうちょっと素直にアンナに愛情を示していたら・・・。

そもそもアンナがヴロンスキーと駆け落ちをして、さらに息子も寄越せっちゅうのは虫が良すぎる話。だって浮気して、駆け落ちですから。カレーニンは妻に捨てられ、世間の好奇の目にさらされつつも、なんとか踏ん張っている。セリョージャは母が死んだと聞かされ祈ってる。ヴロンスキーとの間に生まれた娘は愛情を注いでもらえず。最後アンナは、汽車に飛び込んで自殺なんてしちゃって、ヴロンスキーの心にも傷をつけちゃう。ヴロンスキーは失意で戦地へ赴くことになり「弾にはなれます」・・・な~んて言っちゃいますから。アンナのグダグダ具合はどうも受け付けませんでした。アンナという人は激しい性格でありながら、激動の人生に耐える程強くは生きれない人だったんだろうなぁ。強いフリ出来るぐらいのパワーがあったら人生変わっただろうに。

アンナのグダグダを観るたびに「しっかりせい!」と心で叫びつつ、不思議と後味の悪くない作品でした。私の中でアンナを中心に置いて観てなかったからかもしれません。アンナは主要人物ではあったけれど、平行してキティとレイヴィンのストーリーもあったし。この二人が居なかったら、ドロドロでグズグズで、救いの無い話で終わっていただろうなぁ~。アンナとヴロンスキーは残念な結末になっちゃったけれど、キティとレイヴィンは幸せになったし。それに、カレーニンとセリョージャはそれなりに上手く暮らして行けそうですし。・・・「それでも地球は廻ってる」ってところなのでしょうか。

コメント

  1. 小凛 より:

    こんにちは
    「それでも地球は廻ってる」っていいですね
    私もアンナには共感できないです
    アンナってわがままですよね
    カレーニンもヴロンスキーも可哀相です
    でも、DVDを購入したのでもう少し掘り下げて見たいなって思ってます

  2. moon より:

    小凛さん
    コメントありがとうございます。
    私もしっかりCDもDVDも買っちゃいました。私もいつか子を持ったらああいう気持ち判るのかなぁ~と思いつつ、ああいう状況になるには、ヴロンスキーみたいな人にも出逢わねばならんですね(^^ゞそりゃ厳しい・・・。

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