小惑星イトカワとチェリャビンスク隕石から見える小惑星の生立ち

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国立大学附属研究所・センター長会議(JCRIC)×ナレッジキャピタルー日本の研究、最前線ー

第6回「小惑星イトカワとロシア・チェリャビンスク隕石から見える小惑星の生立ち」

講師:中村栄三先生(岡山大学惑星物質研究所教授・所長)

 

今回のお話は、探査機ハヤブサが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の解析と、チェリャビンスク隕石の解析から得た共通点という感じのお話でした。

『はやぶさ』が地球に帰還したことは、あちこちで報道されましたが、はてさてその後サンプルがどうなったか。サンプルが採れたという噂は聞いていたのですが・・・な私。
実際には狙った量は取れなかったけれど、少し持ち帰れていたと。
今回のミッションで、はやぶさは火薬を使って弾を打って、その衝撃で舞い上がったものを持ちかえってくる計画だったそうなのですが、着陸姿勢の問題で弾が打てなかったと。
でも、弾を打つということは火薬を発射するので、試料に火薬が混ざる。今回は、着陸時の衝撃で機内に取り込まれた物質を調べることができたので、それはそれで良かったと。

サンプルリターンをするメリットとしては、サンプルを取ってきさえすれば、行って帰ってくる間に時代が進んでアップした解析技術を使って最新システムで解析をすることができる。密閉して持ち帰ることが出来るので、隕石のように地球の大気や地表に触れたりすることなく、宇宙にあったものをそのままの状態で、地球の物質の影響を受けずに調査をすることができるのだと。

 

はやぶさが持って帰ってきた試料は狙った通りにオーストラリアの砂漠に落っこちてきたそう。その狙ったところに帰還させる技術も凄いものだとおっしゃってました。打ち上げた技術者は、たぶん戻ってこない予想だったようで、試料の格納容器にはいっぱい落書きが書かれていたんですって。先生曰く、落書きをする技術者はそれだけ余裕があるから良い技術者だとおっしゃってました。どこの世界でも、ちょっとした余裕と洒落っ気は大事だということですね。

そして、いくつかの研究機関で分けられたサンプル。先生も受け取りに行かれたそうなのですが、空路を使うとX線検査で、試料を持っていることがわかっちゃうから?NGだったとかで、陸路を運ばされたと先生ご立腹。「X線で、はやぶさの試料だとわかるわけないじゃないか!」と。それで、こんな感じで運びましたという写真を公開されておりました。ワザとこんな風にしたらしいです。なにせ、”ご立腹”ですから。当時は鳥取県にスタバが無かったので、出張時にスタバのコーヒーを買っていたそうでコーヒーの間に完全密閉された試料が鎮座しております。

先生は、海外での研究が長かったそうで、日本の研究機関のここがアカン!的な話が随所にあって、それはそれで面白かったです。
研究機関というのは、白い巨塔の世界。しがらみだらけの世界。日本は特にごっちゃちゃなんでしょうね。一つの試料から、表面も中身も全部調査ができるというのは、岡山大学の研究所が最先端なようで、「他大学の偉い先生から全部自分のところで調べるつもりか?」的なことを言われるのだとか。一粒から一つの情報を得るのは良いけれど、いろんな方面から一気に調べると外野がうるさそうな様子。日本には、一粒から多方面を調べちゃダメな風潮があるのだとか。日本の研究機関って効率悪そうです。講義の後半で「インディペンデント」っておっしゃっていて、はて意味は?と調べたら、独立とか、依存しないでとか、自由なとか。なるほど・・・。
専門とかイマイチわからない一般な私にとって、えっ!あれこれ調べ無いということの方が不思議です。効率悪い。。。みんなで協力して調べりゃ良いのに。

そして、先生の研究所で調べた結果、色んなことがわかったのだとか。。。の中身が私にはさっぱりわかりませんでした。これは新しい発見です!的な感じだったのですが。。。
ミクロン単位のものをさらにスライスして調べるという途方もない研究なのですが、表面や内部にあるそれこそ元素単位で調べるようです。


「ナノメーター・クレーター」。ポンデリングに似てると先生。でも、これってナノの世界。1ナノ=0.000001 mm。

 

 

そして、ロシアに落ちた「チェリャビンスク隕石」の落ちてきた時の映像。これは恐ろしい・・・。CGじゃないところが怖い。

 

ロシアの湖に落ちたのかな?それを早いこと引っ張り上げて、これまた色んな研究機関で分け合って調べたのだとか。この石一個調べることで論文が1本書ける模様。
実際の隕石も触って写真撮ってもOKですよとテーブルを回してくださり、これが宇宙から来たのかぁ~と感心。そして、この石っころを調べるとものすごく色んなことがわかるのかぁ~と不思議になりました。

  

そして、現在、「はやぶさ2」がミッション中。東京オリンピックの年に帰還予定なのだそう。また帰還時は、盛り上がるでしょうが、前回のように行方不明になったりあれこれ大変なことが無い方が良いなと先生。だけれど、トラブルがある方が注目されるのが日本なのだとか。むしろトラブルが無いと注目されない(^_^;)
なので「はやぶさ」は、トラブルがあった地球帰還までの情報はあちこちで報道されたけれど、大事なその後のサンプル解析はあまり報道されていないのだとか。

そして、締めに先生の好きな言葉。

2020年のはやぶさ2帰還の為の準備は、もうほぼ出来ているそうです。

 

というわけで、実はさっぱり中身がわからないというか、私には、イマイチ試料の解析方法がイメージできずでした。でも、サンプルリターンの意義だとか、電子顕微鏡で観察したり、構成を調べたり、その石の成り立ちを調べたり、ナノ単位で切って調べたり・・・そんなことをして得たことで今後、地球の成り立ちがわかるかもしれないということは理解できました。宇宙を調べて地球を知る。どこまでも世界は繋がって影響を受けているんだなと思いました。

岡山大学の惑星物質研究所には、多方面から色んなことを解析するだけの技術と装置があるそうで、研究所の成り立ちも面白かったです。岡山大学といっても鳥取県の三朝温泉にあるのだとか。それで三朝温泉の成分を調べたら、ラジウム温泉じゃなくラドンだったと。それで最近はラドン温泉ということに訂正されはじめた模様。
そして、先日の鳥取中部地震で研究機材が被害にあったのだとか。被害額26億円!!機械は新しくなって幸いだけれど、大変だったそうです。